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ENGAGE LINKS Short Stories
 

  

※ 全4回に亘って、エンゲヒロインのショートストーリーをお送りします。
※ 本編のネタバレ含みます。ご注意ください。

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 〜第4回 フィアナ編〜
<Here, There and Everywhere>
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(フィアナの部屋にて)

フィアナ「見てみて、ついに完成したよアルくん!」
アル「へぇ、これが前から言ってた『錬金ジュース』か」
フィアナ「そうだよ。水の錬金石の入った樽に一ヶ月寝かせることで、ただのお水がジュースに変わるの。子供にとっては、まさに夢のような発明だね」
アル「で、手始めに作ったのがこのりんごジュースか」
フィアナ「うん。私もまだ飲んでないから、どんな味がするか楽しみ♪ それじゃ、カンパーイ」
アル「ルネッサーンス」
フィアナ「ふぇ? なにそれ」
アル「いやいや、なんでもない。じゃあ、早速飲んでみよう」
フィアナ「うん」


私はアルくんと乾杯して、コップに入った錬金リンゴジュースを一気飲み。


フィアナ「こ、これは……!」


アクの少ない爽やかな喉越しに、甘みよりも酸味のある味。ジュースが喉を通ったあとに鼻を抜ける、この芳醇な香りはまさにりんごそのもの。


フィアナ「しゅごい! これはましゃに錬金界の飲料革命やー!」
アル「フィアナ? ろれつが回ってないぞ。それに顔も真っ赤だ」
フィアナ「ふぇ? しょんなことないよ〜。アルくんったら、また私をからかって〜♪」


ほんとうに、アルくんは意地悪しゃんなんだからぁ。いいもん、たまには私だって意地悪しちゃうんらから。


フィアナ「ほらほら、アルくん。もっと飲んで〜」
アル「ちょ!? フィアナ。くっつきすぎだ。腕におっぱい当たってるぞ」
フィアナ「えへへ。当ててるんだよ〜♪」
アル「なんだって!? ならもっと当ててください!」
フィアナ「むぅ。アルくんのえっちぃ。私、そんな軽い女の子じゃないよ!」
アル「はぁ……おまえ、完全に酔ってるな。このジュースは失敗だ」
フィアナ「失敗なんてしてないおー! してないもん、してない……う、ぐすん、ぐすんっ」
アル「絡んだ上に泣き上戸って、相変わらず酔うとメチャクチャだな。ほら、撫でてやるから泣きやめ」
フィアナ「わぁ〜い。アルくんにいい子いい子されちゃった♪」


えへへ。アルくん、やっぱり優しいなぁ。
でも、他の子にもいつも優しいんだよね。結婚式の後はみんなも自重しなくなったから、毎日イチャイチャしてるし……。


フィアナ「ねえ、アルくん? 私のこと、好き?」
アル「当たり前だろ」
フィアナ「じゃあ、私がいいって言うまで、ぎゅって抱きしめて」
アル「ああ。ほれ、それじゃあ、ぎゅ〜だ」
フィアナ「あ……アルくんの身体、熱い……」
アル「やっぱりあのジュースは失敗だな。酒の匂いがする」
フィアナ「ぷぅ。失敗じゃないもん。意地悪言う旦那様なんて、食べちゃうんらから」
アル「ちょ、おい。首筋噛むな、くすぐったいだろ。なら、オレも食べちゃうぞ♪」
フィアナ「きゃぅん。んん……あ、アルくんの唇くすぐった……ひゃぁん♪」
アル「どうだ。まいったか?」
フィアナ「あぅぅ……まいりました……」
アル「まったく。どうして今日はそんなに絡んでくるんだ。オレは嬉しいけど」
フィアナ「あ……その……ちょっと不安になって」
アル「不安?」
フィアナ「アルくん、ヘレンとかマリナちゃんと仲良くしてるでしょ? みんなもアルくんにアプローチしかけてくるし」
アル「だから、不安に思った……か」
フィアナ「うん。みんなと仲良くするなとは言わないよ。アルくんがしたいようにするのが一番だと思うし。でも……」
アル「でも?」
フィアナ「あ、その……私はアルくんのお嫁さんなんだから、いつも私だけを見てほしいなぁ……とか」
アル「フィアナ……」
フィアナ「ううん。やっぱりなんでもない。ごめんね。変なこと言って」
アル「全然そんなことない。フィアナの言う通りだ。おまえはオレのお嫁さんなんだから、もっとわがままを言っていい。お姫様の願いを叶えるのも、騎士の務めってね」
フィアナ「アルくん……」
アル「みんなのことは大好きだけど、愛してるのはおまえだけだ。オレの可愛い可愛いお嫁さん」
フィアナ「アルくぅ〜〜〜〜〜〜ん♪」
アル「んむっ!? む、むぅぅ〜〜〜!」


エンゲSS4

フィアナ
「アルくん、アルくん♪ ちゅ、ちゅ、ちゅ〜♪」
アル「って、おまえ。まだ酔ってるだろ」
フィアナ「酔ってないよぉ。私、これが普通だもん……ふつうなんだ、もん……」
アル「フィアナ?」
フィアナ「んん……くぅくぅ……アルくぅん……」
アル「って、もう寝てるし。どんだけフリーダムなんだよ、ウチの嫁は」


あ、体がふわふわ浮いてる。アルくん、私をベッドに運んでくれてるんだ。
本当に優しい、私だけの旦那さま……♪


アル「よいしょっと、ふぅ。こいつ、前より重くなったよな」


む。幸せ太りですよーだ。


アル「…………」


あれ? アルくんの顔が近づいて……。


アル「フィアナ……」
フィアナ「ん……」


あ、熱い……アルくんの唇……さっきよりも、全然……。


アル「大好きだよ」


そう言って微笑むアルくんの顔は、すごく幸せそうで。とっても可愛くて。


フィアナ「アルくぅ〜ん。ちゅ♪」
アル「おわっ!? まだ起きてたのか!」
フィアナ「えへへ。私も大好きだよ♪」
アル「ああ。わかってる。それはそうと、ひとつ頼みがあるんだけど、いいか?」
フィアナ「ん? なぁに?」
アル「今日も子作りに励みましょう!」
フィアナ「きゃあ!? ちょ、アルくん。んもう、本当に意地悪さんなんだから。するなら、まず優しく服を脱がせてね。ダーリン♪」
アル「フィアナっ!」
フィアナ「きゃぅん♪」


 〜・〜・〜・〜


前略 お爺様


お爺様の資料にあった錬金ジュースは、失敗作でした。
だけど、そのおかげでアルくんとより親密になれたから、結果オーライかな?
ちなみに、ヘレンは『新しい事業を起こせます』って言って、酒樽を大量に購入していました。
どうして、ジュースを造るのに酒樽を用意したんだろう? 私はまだまだ勉強不足のようです。
でも、いつかきっとお爺様のような立派な商人になってみせます。天国から見守ってくださいね。
少し不安になったり、落ち込んだりすることもあるけど、私は今日も元気です。


PS.
最近、甘いリンゴより酸っぱいリンゴの方が美味しく感じます。私も大人になって、味覚が変わったのかな?




(Fin)


(Text:空下 元 / Illustration:小春 ひより)

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 〜第3回 ヘレン編〜
<Wild Honey Pie>
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(商店街にて)


アル「お、見ろよヘレン。ぬいぐるみ売ってるぞ」
ヘレン「こ、これは……!」
アル「うさぎのぬいぐるみだってさ。よくできてるな。給料も入ったし、買ってやろうか?」
ヘレン「うさたん……」
アル「え?」
ヘレン「……っ! いえっ、な、なんでもありませんっ!」
アル「それでぬいぐるみなんだけど……」
ヘレン「そのようなものはいりません。無駄使いは控えてください。買うなら、フィアナ様の分だけで十分です」
アル「そうか? 喜んでくれると思ったのにな」
ヘレン「そのお心遣いだけで私は満足ですよ。メイドの私には過ぎたものですから」
アル「そう言うなって。おまえはもうただのメイドさんじゃない。オレの奥さんなんだから。可愛い奥さんにプレゼントをあげるってのは、ごく自然な流れだろ?」
ヘレン「アル様……。ありがとうございます。ですが、やはりぬいぐるみは頂けません。そのぬいぐるみがあると、我を忘れるというか……
アル「ん? うさぎにトラウマがあるとか?」
ヘレン「い、いえっ。とにかく今日は帰りましょう。フィアナ様が待っていますよ」
アル「あ、おい。待てよヘレ〜ン!」


 

 〜・〜・〜・〜


 

(ヘレンの部屋にて)

 

ヘレン「ふぅ……」


お食事が終わり、お屋敷の掃除も完了。
今頃、アル様はフィアナ様と一緒にお庭でお稽古をなさっているはず。
今なら誰いない。そう、ここにいるのは私一人……。


ヘレン
「はぁ〜、うさたん。やっぱめんこいべな〜♪」




私はベッドの下からうさぎのぬいぐるみを取り出し、思いっきり抱きついた。
ああ、このもこもこふわふわした感触と、つぶらな瞳……やっぱり、うさたんは可愛い♪
つい勢いでいらないと言ってしまいましたが、本当は喉から手が出るほど欲しかった。
というか、こっそり買ってきてしまいました……。
普段の私は、できるメイドとしてアル様や旦那様に認められていますからね。
うさたんを前にすると『我を忘れてはしゃぎまくる』という性癖がバレると、実に厄介なことになります。
でも、今なら誰もいない。ここは私とうさたん二人だけの世界……。


ヘレン
「きゃっ♪ もふもふです。うふふ。ほら、うさたん。お姉さんがいい子いい子してあげますよ〜」
アル「……な、なにをしてるんだ」
ヘレン「あ、ああああアル様っ!? どうしてこちらに!?」
アル「いや、タオルの替えがないかなって訊きにきたんだけど……しかし、うさたんって……」
ヘレン「え? あ、こ、これはその……屠殺の仕方を勉強してただけです! 決して、うさたんめんこいなぁ〜♪ などと言って可愛がってたわけじゃねぇべさ!」
アル「出たな方言。ってことは、可愛がっていたわけだ」
ヘレン「う……そ、それはその…………はい……」
アル「素直でよろしい。なんだ、やっぱりヘレンもこういうぬいぐるみが好きなんだな。言ってくれればいいのに」
ヘレン「み、皆様には内緒にしてくださいね。私に少女趣味があるだなんて知られたら、恥ずかしくて表を歩けません」
アル「ああ、わかったよ。じゃあ、オレとヘレンだけの秘密ってことで」
ヘレン「ほっ……ありがとうございます」
アル「でも、タダってわけにもなぁ。にやにや」
ヘレン「……何がお望みですか?」
アル「さすがはヘレン。話が早い。そりゃもちろん、エッチなことだ♪」
ヘレン「んむっ!?」
アル「ほら、じっとして。キスできないだろ?」
ヘレン「あ、アルさま、そんな……ん、ん……っ」
アル「あれ〜? ヘレンってば急に大人しくなってどうしたのかなぁ?」
ヘレン「い、意地悪ですアル様……こんなことされたら、私……」
アル「意地悪結構。ほら、もっといたずらしちゃうぞ?」
ヘレン「あ……」


アル様が私の服を脱がしていく。ダメ……抵抗できない……。


ヘレン「はぁはぁ……あ、アルさま……」
アル「ヘレン、綺麗だ……」
ヘレン「もう。アル様ったら、ほんとうにわかりやすい人ですね。え、エッチなら別に、したい時にさせてあげますけど……」
アル「それじゃあ燃えないっていうか。たまには変わったシチュエーションで愉しみたいというか」
ヘレン「変わったシチュエーション、ですか?」
アル「そういうこと。ってわけで、今日はぬいぐるみプレイしよう」
ヘレン「ぬ、ぬいぐるみプレイ?」
アル「そうそう。さっきみたいに俺を可愛がってくれよ」
ヘレン「え? さっきのようにって……ま、まさか、うさたんならぬ『アルたん』とか……」
アル「そうそう、それそれ。代わりに俺は『ヘレンお姉たん』って呼んでやろう」
ヘレン「そ、そんな恥ずかしいことできませんっ!」
アル「そっか。じゃあ、みんなに言いふらしてこようかな。ヘレンはうさたんが大好きなメルヘンチックな女の子だって」
ヘレン「〜〜〜!! ひ、卑怯です!!」
アル「卑怯で結構。意地悪で結構。オレ、ヘレンの可愛い顔もっと見たいなぁ」
ヘレン「私の可愛い……顔、ですか?」
アル「ああ。普段のヘレンも好きだけど、ぬいぐるみを抱いてるときの女の子らしいヘレンもオレは大好きだぞ。だから、ヘレンの素顔をもっとオレに見せてくれよ。恥ずかしがらずにさ」
ヘレン「アル様……」
アル「ってわけで、オレをぬいぐるみだと思って、ひとつよろしくお願いします」
ヘレン「……ちょっとだけですからね」
アル「やった♪」
ヘレン「では……」




ヘレン
「あ、アルたん……きて、ください。お姉さんがいい子いい子してあげますから……」
アル「ヘレンお姉たんっ! そのおっぱいでもふもふさせて♪」
ヘレン「きゃあ!? だ、ダメです! そんなお胸揉んだら、あ、あぁんっ」


 

 〜・〜・〜・〜


 

その後のお話は割愛させていただきます。その……とってもプライベートなことですので。
うさたん……もとい、うさぎのぬいぐるみは今も私の部屋に置いてあります。
アル様が買ってくださった、もうひとつのぬいぐるみと一緒に……。
 

(おわり)


<次回:フィアナ編 お楽しみに>


(Text:空下 元 / Illustration:小春 ひより)

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 〜第2回 ティア&ブリジット編〜
<All You Need is Love>
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 それは、よく晴れたある日のできごとだった――


(ティアの部屋にて)


ブリジット「本当にもらってもいいのか?」


私の手には純白のドレス。至る所にレースの装飾が施された、見るからに高そうな代物だった。


ティア
「うん。それ、お姉ちゃんのために、お兄さんと一緒に選んだお洋服なんだよ。いろいろあって、渡しそびれちゃったけど」
ブリジット「そうだったのか。ありがとう、ティア」
ティア「どういたしまして♪ ほんとはペアだったんだけどね、もうひとつは汚れちゃったから」
ブリジット「なら、これはティアが……」
ティア「いいのいいの。お姉ちゃんに着てほしくて買ったんだから。お姉ちゃんが着た方が、お兄さんも喜ぶと思うし」
ブリジット「……ティアがそこまで言うなら」
ティア「うんうん。それじゃあ、さっそく着てみてよ♪」


エンゲSS2



ブリジット
「ど、どうだ?」
ティア「わ〜〜〜! すごく綺麗だよ〜。お姉ちゃん、素敵♪」
ブリジット「よくわからないのだが……これでアルが喜ぶのか?」
ティア「うん。絶対喜ぶと思うよ。お兄さんに優しくにゃんにゃんされちゃうかも」
ブリジット「アルとにゃんにゃん……」
ティア「あ〜、お姉ちゃんすっごく嬉しそうな顔してるぅ〜。えっちぃ♪」
ブリジット「ば、バカを言うな。そんな顔はしていないっ」


うん。だけど……。


ブリジット
「アルが喜んでくれるなら、それでいい……」
ティア「えへへ。お姉ちゃん、いい笑顔だね」
ブリジット「笑顔……か」


笑顔なんて、少し前まではどう作ればいいかわからなかった。笑顔を教えてくれたのは、ティアとアル達。
いや、アルは『笑顔は作るものじゃなくて、自然と出てくるものだ』とか言っていたか。
確かに、笑顔は自然と出てくるものだ。ティアと一緒にいるとそれがよくわかる。


ティア
「にゃ? どうしたの? わたしの顔、じっと見つめて」
ブリジット「……ありがとう、ティア。愛してる」
ティア「改まってなぁに? 恥ずかしいよぅ」
ブリジット「どうしても伝えておきたかったんだ。もちろん、私の本心だぞ」
ティア「えへへ♪ うん、ありがと。わたしも大好きだよ♪ まあ、わたしの方がお姉ちゃんを愛してるけどね」
ブリジット「何を言う。私の方がティアを愛しているぞ」
ティア「わたしの方が好きだよ」
ブリジット「いいや、私だ。残念だったな」
ティア「わたしだってばぁ〜」
ブリジット「違う、私の方が……!」


私とティアは見つめあい、同時に小さく噴き出した。
どうやら、今日の勝負は引き分けのようだ。


ティア
「それじゃあ、髪を整えようね。はい、後ろ向いて〜」
ブリジット「髪?」


ティアは椅子の後ろに立つと、ブラシで私の髪を優しく梳き始めた。
いつも無造作に縛っていた腹いせだろうか。下ろされ、ふわりと柔らかく整えられた私の長い髪が、無防備な背中を何度もくすぐってくる。


ブリジット
「ん……ティア、くすぐったいぞ。やめろ」
ティア「ほらほら、暴れないでよお姉ちゃん。綺麗にできないでしょ」
ブリジット「髪なんて整えてどうするんだ。縛ってまとめておけばそれでいい」
ティア「ダメだよぅ。せっかく今日は、お兄さんと二人きりのデートなんだし♪」
ブリジット「そもそも、なぜ私がアルとデートをしなくてはいけないんだ。そういうのはティアの役目だろう」
ティア「いいのいいの。お姉ちゃんにも幸せになってほしいもん。だから、今日はお姉ちゃんの日なの」
ブリジット「ティア……」


ティアはそっと後ろから私の肩を抱きしめ、頬と頬とを合わせてくる。
私を包み込む、ティアの匂い。ひだまりのような優しい匂い……。


ティア
「…………ちゅ♪」
ブリジット「ふぁ!? どうして急に唇を当ててくる!?」
ティア「えへへ♪ 愛情表現だよ愛情表現。照れちゃって可愛い♪」
ブリジット「…………ばか」
ティア「にゅふふ〜、そんな真っ赤な顔で怒っても怖くないよ〜。お姉ちゃん、ほんとに可愛いなぁ♪」
ブリジット「…………! くっ……!!」
ティア「にゃ? どうしたのお姉ちゃん。急に俯いて」
ブリジット「その……仕返しをしようと思ったのだが、嫌がるティアを想像したら……ああ、やはりダメだ。私にはできない!」
ティア「あはは。そんな大げさな。それに、お姉ちゃんに悪戯されても、わたしは嫌じゃないよ。逆に嬉しいな」
ブリジット「そうだった。ティアはマゾティストだったな」
ティア「にゃあ!? そういう話じゃないですぅ〜!!」
ブリジット「では、どういう話だ?」
ティア「えっとね、遠慮しなくていいよって話。わたし達姉妹なんだし。遠慮なんかされたら、むしろ悲しいかも?」
ブリジット「……すまない。まさかティアを悲しませていたなんて……」
ティア「にゃ〜、だからそんな深刻に受け止めなくても……」
ブリジット「わかった。では、積極的に悪戯をしよう。アルを見習って、足腰立たなくなるまでな」
ティア「そ、それは嬉しいような、怖いような」
ブリジット「大丈夫だ。手加減はする」
ティア「そう? じゃあ、試してみてよ。お姉ちゃんになら、どんなことされても平気だよ」
ブリジット「わかった……」
ティア「…………」
ブリジット「…………」
ティア「早くきて。お姉ちゃん……」
ブリジット「では、触るぞ……」
ティア「ん……」
ブリジット「あ……ティア、すごく柔らかい……」
ティア「にゃ……んもう、そんなおっかなびっくり触ったらくすぐったいよぅ……きゃっ、くすくすっ」
ブリジット「悪い。いつも触ってもらうばかりで、ティアに触ることは滅多にないからその……」
ティア「にゅふふ♪ じゃあ、お手本みせてあげよっか〜?」
ブリジット「ふぁ……っ! んっ! ああ、いい……ふわふわするぞ、ティア……こうだな? こうすれば……」
ティア「ん……はぁはぁ……そう、その調子……お姉ちゃん、いい……すごく気持ちいいよ……」

 

 

 







ティア
「わたしの二の腕」



どんがらがっしゃーん!



ティア「にゃ!? 部屋の外に誰かが!?」
ブリジット「どうせアルだろう。毎度毎度騒がしいヤツだ」



 〜・〜・〜・〜



それから私はティアに見送られ、部屋を出た。
街に出たら、どんなことをしよう。どんな言葉を交わそう。
どんな顔をして歩けばいい? どんな風に甘えればいい?
……ダメだ。どうしてこんなにも胸が高鳴るのだろう。
どうしてこんなにも満たされるのだろう。
アルと一緒に街を歩く、たったそれだけのことなのに。
私は今、どうしようもないくらいに幸せだ……。

そうだ。決めた。まずは仕立て屋に向かおう。ドレスをもう一着仕立ててもらうんだ。
それで次の休みの日には、ティアとアルと私とで、3人一緒にデートをしよう。


ブリジット「ま、待たせたな……」


温かな陽だまりの中、あいつが笑顔を向けてくる。
私は咄嗟に顔を背け、赤く火照った頬を必死に隠し続けた――


 

(おわり)


<次回:ヘレン編 お楽しみに>


(Text:空下 元 / Illustration:小春 ひより)

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 〜第1回 マリナ編〜
<Hold Me Tight>
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(夜。マリナの部屋にて)


 グラスの準備よし、ベッドは……よし!
 髪はどうかな? 綺麗だねって、また頭なでなでしてくれるかなぁ。えへへ♪
 あ、服はいつものでよかったのか? ヘレンみたいな、大人のネグリジェにするべきか?
 でも、そんなやる気全開だと引かれるかもしれないしな。う〜む……


(コンコンッ)


 ……っ!! 来たっ! あわわわっ! どうしよう。どうしようっ!?

 まままま待て、落ち着くのだマリナ・リル・ヴィオリアッ!!
 鋼鉄姫の孫が、こんなことで動揺してどうする!
 そうだ。普段どおりに接すれば、気取られずに済むはずだ。
 いや、気取られないと意味ないのだが……とにかく、平常心平常心っ!!


 「よ、よくキタなアルッ! 待ちくたびれタゾっ!!」


 って、思いっきり声が裏返ってるのだぁぁぁぁっ!!
 ああ! アルが首を傾げてるしっ!
 こほんこほん……な、何でもないのだ。いやいや、風邪ではないぞ。
 って、うあっ!? おでこをこつんとするにゃぁ〜!
 そんなに顔を近づけたら、息が、唇がぁぁぁ〜〜〜!!
 う、うぅぅ……だから違うのだ。熱があるのは、おぬしの顔が……
 いやっ! な、なんでもないっ! 忘れろっ!! 忘るれろっ!!!!
 
 ええい、いいからアルはベッドに座るのだ! お座り!!
 そ、そうだ! ベッド以外、おぬしの座る場所はない!
 この部屋は妾の領地なのだからな。妾に従うがよい!!

 うむうむ。なかなか聞き分けがよいぞ。では、その……
 え? 何の用かって? だから、ほら、アレだ。えっと……
 あ、あ〜〜〜、そういえば、この部屋暑いなぁ。上着脱いじゃおうかなぁ?
 
 いやいや、だから違うのだ。熱で汗をかいたわけではないのだ!
 え? 脱ぎ脱ぎしましょうね? ま、待て。脱ぐには脱ぐが、まだ心の準備が……
 って、ああ! 勝手に帯を解くでない!
 ……おぬし、着物を脱がせるの上手くなったな。褒めてよいのか悪いのか。
 うむ。まあ確かに、いつもおぬしに脱がせてもらってるからな。慣れるのも仕方な――
 って、変なことを言わせるな! まったく。これだからアルはまったくっ!!



 ううむ……結局、脱がされてしまったのだ。こ、こっち見るでない! 不埒者め!!
 ええい、わかったわかった。ちゃんと布団は肩までかぶる。子ども扱いするでない!
 え? そ、添い寝……してくれるのか? これはまた願ってもないチャンス……
 あ、いや! なんでもないぞ! ふ、ふん。そこまで言うなら、一緒に眠ってやるかな。
 でも、風邪がうつるかもしれぬぞ? 風邪を引いたら大変だなぁ、ふふふ♪

 え? 妾の風邪ならうつってもいい?
 そんなこと言って後悔してもしらんぞ。妾が引いているのは風邪ではない。
 そう、この病は強力なのだ。うつったら、一生かかっても治せん。
 何せ、『愛』という名の病なのだからな。

 







 って、笑うなーーー!
 いやーーー!! そんな優しい顔で微笑んじゃだめーーーーーー!!!!


 うぅ……やはり、慣れぬことはするものではないな。見ろ、変な汗が出ておるぞ。
 ん? あ、ダメなのだ。そんなところ舐めちゃ……きゃ、んんっ!?
 ちょ、待つのだ。この後、アルコールを飲ませて前後不覚にさせるという作戦が残って……
 え? それで結局、何の用かって? それはその……
 い、言わないのだ! 妾の夫ならそれくらい察するのだ。
 妾だって恋しくて……おぬしが好き過ぎて、せつなくなる日もあるのだ……
 んっ、あっ! だから舐めちゃダメ……ん、んんっ!
 あ……うん。別に、寂しくはないぞ。
 おぬしがそばにいてくれるんだもん。それだけで妾は幸せになれるのだ♪
 でも、その……時々、体が疼くというか……どうしても、ごにょごにょ……
 きゃっ!? んくぅっ! わ、わかったのだ。ちゃんと言うから、舐めちゃやなのだっ!
 もう、本当にしょうがないなぁ……。


 お願い、今日は朝までぎゅっとして。妾だけのナイト様――

 







 って、やっぱり恥ずかしいのだぁぁ〜〜〜っ!!!!

(おわり)


<次回:ティア&ブリジット編 お楽しみに>


(Text:空下 元 / Illustration:小春 ひより)

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